平昌オリンピックで話題になったカーリング女子日本代表選手たち。スキップの藤澤五月選手の愛らしい笑顔は韓国でも男性たちの間で結構話題になったようです。(ネット記事しか見てませんが)
その彼女たちが「ビックリするくらい美味しくてお気に入りでした!」と太鼓判を押した韓国イチゴが日本から流出した、盗まれたものだということでちょっとした騒動になっています。しかし、そこからもっと深く重要なことを見抜かなければいけないというツイートがあったので、その内容をご紹介したいと思います。
韓国イチゴに関連ツイートとの出会い
いつものようにツイッターのタイムラインをチェックしていたところ気になるツイートが目についた。私がフォローしている方のつぶやきではなく、誰かがリツイートして私のタイムラインに流れてきた。
現在、韓国で作付けされている日本イチゴ品種はわずか6%(2017年産統計)。章姫が5%でレッドパールはわずか1%で、今後、さらに韓国品種への更新が進む。主力品種は国内向けソリャン(83%)と輸出向けメヒャン(3%)で棲み分けしている。韓国のイチゴ生産は日本品種依存時代を完全に脱している
— 浅川芳裕 (@yoshiasakawa) March 4, 2018
「話題になっている韓国イチゴに関連する違う視点のようだぞ」
私は取り敢えずリツイートして、この浅川さんの前後のツイートをチェックしてみた。すると既に「月刊『Hanada』」に記事を書いておられるとのこと。しかもそれを読めば真相が分かるという。
「国をあげてイチゴを盗む韓国」(月刊『Hanada』に寄稿)を全文ブログに転載しました。諸説紛紛としている「韓国のイチゴ」ニュースの真相はこれを読めば明らかになります。韓国サイドの策略を徹底解剖するにとどまらず、日本のイチゴ業界・農業界がとるべき戦略も明示した。https://t.co/atLjNDoX0h https://t.co/n8E7NYKqz7
— 浅川芳裕 (@yoshiasakawa) March 2, 2018
この方は誰なんだと、ツイッターのプロフィール欄をチェックすると…
『日本は世界5位の農業大国 』著者。作家・ジャーナリスト・翻訳家。最新刊は母校を描いた『カイロ大学 “闘争と平和”の混沌』。著書には、大統領選を予言した『ドナルド・トランプ 黒の説得術』、訳書『国家を喰らう官僚たち』など多数。『農業ビジネス』編集長。趣味は古民家改装。猫が好き。
ふむふむ、農業ジャーナリストということなので、それは専門的な視点からの話が聞けそうだ。
しかしタイトルが「国をあげてイチゴを盗む韓国」ですか。韓国はなんて悪いんダァって思っていてる人は溜飲が下がるだろうと思わず記事を読んでしまう見事にキャッチーなタイトル。
だが、人気の裏では日本品種の盗難、海外への違法流出が相次いでいる。
とくに多いのは韓国と中国への流出だ。盗難が頻出しているのは、イチゴやブドウ、リンゴ、モモ、柑橘類などの日本が世界に誇る果物品種である。被害は果物に限らない。カーネーションや菊、イグサなど、花卉や工芸作物まで及んでいる。
その大半は、国や県が開発した公的品種や個人が育成した品種だ。そうした官・個人の育種家は、民間企業と異なり、品種保護のノウハウがなく、海外展開にも積極的ではない。その隙が巧妙に狙われているのだ。
なるほど、タイトル通り日本品種が韓国に盗まれていると浅川氏は話す。
韓国は国をあげて、日本品種を流用する農業政策を公式に行っている。その背後には、日本からの盗難(または登録切れ)品種と別の盗難(同)品種を掛け合わせ、海賊版品種を合法的に次々と作り出すカラクリがある。
その成果もあって、韓国は2013年、青果物の農業生産額ではじめて日本を超え、世界4位に躍り出た。同輸出額では、日本の5倍の規模にまでなっている。
しかも国をあげてって、悪い奴らダァ。ここで気になるのは海賊版品種を合法的に次々と作り出す「カラクリ」という部分。合法的になっちゃうの?ってことで、浅川氏は次にカラクリについて詳細に説明している。このくだりは農業専門家でなければ書けない部分だ。
この場では省略するが、ぜひカラクリについて読んでいただきたい。そして
もとはといえば盗難品種や登録切れ品種とはいえ、日本を越えようと国家の威信をかけたイチゴの品種開発には執念を感じる。
この辺から農業専門家ジャーナリストとしての浅川氏ならではの視点が提示される。結局、韓国の農業発展の努力は単純に盗んだというレベルではない、農業の苗は人々が食べるという原初的欲求と市場の要求により、歴史的に盗まれるものは盗まれる運命にあるような内容となっている。まさに農業史的視点である。そして韓国の国を挙げての努力により多くの成功を収めているが、日本は作る努力はしているのものの、今日のグローバリズムの時代に世界の市場で成長させる努力を怠っていると指摘する。
そして最後には日本も勝つことはできるのだという提言でこの文章は終わっている。
合わせて、浅川氏の一連のツイートを読んでいただきたい。論点がより分かりやすくまとめられているからだ。
韓国を研究する時代ではないのか?
一連のツイートで浅川氏は
その意味で「韓国のイチゴはびっくりするぐらいおいしくてお気に入りでした」というコメントにはとてつもない真実が含まれている。
と述べ、最後には
このコメントを聞いたら、ぼくがイチゴの輸出担当者や農水省の政策担当者だったら、すぐに韓国に飛んで真相をさぐる。彼女の真実の言葉に対して、「選手には日本のおいしいイチゴをぜひ食べていただきたい」という農相の言葉には真実の欠片もない。何の検証もなしに呪術頼みの政治家ポジショントーク。
— 浅川芳裕 (@yoshiasakawa) March 6, 2018
と締めくくっている。韓国のイチゴについて輸出先の売り場や消費者の冷蔵庫の中まで調べた浅川氏は、既に「とてつもない真実」という真相を詳細に知っているわけだ。「盗まれた」といって解決する次元の問題では既にないのだと警告しているのだ。
韓国の農業というものが持つイメージは、日本の昔のやり方をやっているのだろうと想像しやすい。韓国のテレビをボーっと見ていてもそんなふうに思ってしまっていた。しかし私もこちらで話を聞くと、ITや科学的手法が導入された農家が広がっているという。日本から取り立て学ぶものはないというのだ。
そのイメージが問題である。浅川氏はこうツイートする。
反応みてるとまだ韓国のイチゴ品種を「盗難品」かよくて「日本のモノマネ」程度の甘い認識しかないようだ。日本勢が家電や有機EL、リチウムイオン電池なんかで韓国勢に完敗してきたのを知らないのかな。農業の世界でも韓国の勝利の方程式「リバースエンジニアリング」で日本の強み・弱みを完全分解済!
— 浅川芳裕 (@yoshiasakawa) March 6, 2018
韓国では様々な分野で日本をすでに追い抜いてしまった。ITしかり、半導体でもしかり。サムスンの社員のベンチャーのような戦ってる感は凄まじい。ソウルの大型病院などにいっても、規模や先端性には度肝を抜かれる。化粧品分野も同様である。
日本の問題はなんなのだろうか?
一連の内容に私は危機感を感じる。韓国が優れているという問題ではないはずだ。利権を守ろうと作られた規制の在り方や、このから派生する問題は複雑であるだろう。ただそうしたことで、日本人のアニマルスピリッツが削がれているのではなかろうかということだ。
浅川氏はカイロ大学出身でカイロ大学の本を書いている。混沌とした学校の文化があるらしい。
浅川 芳裕 『カイロ大学 』https://t.co/9N1WBL4DlE これマジで、日本からの入学希望者殺到するんじゃないかな。高校生くらいで、進路に迷っている時に読んだらこれだ!とか思いそう。
— 世界読書放浪 (@sekaidokusyo) January 20, 2018
中東のハーバード「カイロ大学」学生生活からエジプト革命まで、笑えて泣ける熱き学生達のストーリーを織り交ぜながらそのベールに包まれた魅力を紹介している一冊、KKベストセラーズから発売中 #Egypt #エジプト pic.twitter.com/xDbSK6rBVi
— フィフィ (@FIFI_Egypt) January 11, 2018
そもそも日本人にはアニマルスピリッツがないのか?現代の若者はアニマルスピリッツを失ってしまったのか?決してそうではないことを今回の平昌オリンピックで確認したはずである。東洋人でも世界最高峰と期して戦い、勝つことができることを選手たちは証明した。
日本的なものに長く使っていると、短所にも同時に侵されてしまいがちではないだろうか?外に出て、刺激をうけ、価値観を一度破壊されることで新生日本が復興するのだろうということをオリンピック選手もイチゴ問題も我々に考えさせてくれたのではないだろうか?
あっ、それと実際に美味しいので韓国に来た際には、試しにスーパーでイチゴを買って、ホテルの部屋でコソッと食べてみてください。