韓国、カプチルという交渉の力学

お騒がせしている大韓航空、創業者一家の娘たち。韓流ドラマの悪役を地でいくパワハラの数々。社会的非難を浴びて、本日警察へ出頭するようですが…

今回「カプチル」という言葉が流行っているようなので、その言葉にまつわる辺りを私なりに解説して、ある種のヒエラルキーが存在する中での交渉について考察してみたいと思います。

「カプチル」の「カプ」は漢字の「甲」。
甲乙の甲で契約書で甲乙それぞれ当事者がいて、甲の方が立場上優勢だという一般の認識で韓国では「甲」(カプ)という言葉がよく使われます。
「チル」は行動という意味で、「カプチル」とは「甲の側の人間の行動」ということになります。

ただ一般的な行動のことを指して「カプチル」という言葉が使われているのではありません。状況からして優勢な立場の人間がその立場を利用して、相手に圧力をかけ、より一層ことを有利にする、ある種のパワハラ的行動を示しています。

日本のように秩序がすでに定まった社会・共同体より、一般の世界ははるかに競争が熾烈です。ゼロサムの世界でいかにことを有利に、逆にいうと相手を不利にしていくかが人々の関心であることは致し方ありません。(悲しいことではありますが、責めるわけにはいかない現実があります)

ですから初対面の時に、どちらが上か下か、どちらが甲か乙かを瞬時に見極め、ハッキリと認識し、さらには相手にもある種強制的に認識させようとする類の人がいるわけです。(韓国人みんながそうではありませんが、そういうことへの理解は少なくとも皆ある)要するにマウンティングですね。

しかし日本でも「お客様は神様です」といってお金の出す側の優位性がうたわれるし、クレーマーやモンスターペアレンツなども一種のパワハラですから、程度の差はあれ似たり寄ったりと言えなくもありません。

特にビジネスの場において、これは交渉ごとですから、甲乙の力学は常に作用してくるわけです。ナッツ姫やみづかけ姫のように度を超えると大いに問題ですが、やはり程度の差はあれ、この力学は働くわけです。ただ、韓国で甲乙関係に過敏に反応し、カプチルをするなり、強く意識するにはわけがあります。

韓国の人が面白いなあと思うのは、多くの人がこの力学を認知していること。普通の女の子でもわかったりしている。生活の中で、実感せざる得ない体験を多くしてきたのでしょう。そういう体験が甲乙関係に過敏に反応するパーソナリティーを形成してしまったと思われます。

もう一つは、甲側が乙に対してフェアすぎる態度に出た場合、逆に乙側が甲を出し抜こうとすることが十分に考えられる状況にあるというのも理由ではないかと思います。しっかり優位性を確保し、誇示しなければ、逆に騙されたり不当に不利になることがありうると多くの人が考えているはずです。

ということで考えると甲乙の間で、一方的に甲が優勢というよりは、力の均衡を考えなければならない場があって、甲乙それぞれに振舞っていると見ることができます。

では、そんな韓国で交渉するときに何が大切か?甲乙どちらの立場であっても両者の力の均衡を読みながら毅然とした振る舞いをする、言動をするということがまず基本になるのだろうと考えています。
態度、姿勢、言葉づかい、服装など、気を使う必要があります。

さらにその均衡を保つ力があれば、両者の間にリスペクトも生まれるのだろうと私は希望的に考えています。

しかし韓国人も疲れます。こんなことばかりしていては。そこを理解した上で力とは別の交渉術もあります。

不信感や重責が重い人は、力の均衡を保つ態度をなかなか崩してはくれませんが、不本意ながらこの力の均衡に付き合っている人もいます。探りながらですが、力の均衡の緊張関係から、グッと親密関係になり、本音トークに持ち込むやり方です。

韓国人の社会不信のフィールドから韓国人が持つ親密な関係のフィールドに持ち込むやり方です。全てにうまくいくわけではないでしょうが、力の世界から色々な要素を使って韓国の人の持つ情の世界に移行する、そうすると交渉はさらにスムーズにいくと思っています。

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