北朝鮮

韓国には脱北者のバラエティー番組がある

通訳で時々取材同行することがあり、脱北者の人と会って話を聞くことがあります。実は普通に韓国で生活していると、なかなか会える機会はありません。

それでも韓国には3万人を超える脱北者が暮らしていると政府は発表しています。韓国人も同胞であり、隣人である彼らのことは気になるし、逆に社会の無理解のために不利益を被っているというのは私が10年前に彼らに会って話を聞いた印象でした。

脱北者のバラエティー番組

そんな隣人のことをもっと知りたいという思いから企画されたのでしょう。東亜日報系のケーブルテレビ局のchannelAで2011年12月から「イジェ・マンナロ・カムニダ」(今や会いに行きます)という脱北者のバラエティー番組が誕生しました。

当初は教養番組だったそうですが、脱北者女性を中心に据えてからは芸能番組の枠になったそうです。

番組のサイトの紹介文には

脱北者2万7千人の時代

彼らは今も自由を求め豆満河を渡っています。

脱北、北送、そして何度かの死の峠を越えて、

今や大韓民国の国民として定着した脱北美女たち!

6.25戦争以降、断絶していた民族の壁!

いまだに彼らを涙させる南韓社会の誤解と偏見!

世界初!放送初!

南と北の和合を模索する疏通バラエティー!!

イジェ・マンナロ・カムニダ(今や会いに行きます)

イジェ・マンナロ・カムニダ

民族分断問題、独裁と貧困からの命がけの脱出、文化の断絶、韓国での誤解と偏見、そういう民族と歴史と社会の極めて重い題材をバラエティーに仕上げる韓国ケーブル局のセンスが素晴らしい!

番組司会者は安定感のあるコメディアンのナム・ヒソク、彼がバランス感のある進行を務め、涙と笑いの番組に仕上がっています。

番組は、毎回のテーマに沿って笑うに笑えないような北朝鮮での生活や批判を交えた北の体制について、また脱北の過程や南での脱北者生活あるあるなど。中心である若い女性のみならず、男性脱北者も出演し、脱北者にも地方出身の庶民と平壌出身のいわゆる身分の高か。った人がいて、庶民の人は主に北の生活を語ることが多く、平壌の幹部に近い人は(主に男性)北の体制の説明や批判について語ることが多いようです

そして今やイジェ・マンナロ・カムニダ(以下「イマンカム」はchannelAの長寿看板番組となりました。

YouTubeに上がる番組の著作権は?

テレビ番組の動画がYouTubeなど動画サイトに上がると著作権を主張する放送局が止めに入ることが多いのですが、この番組はYouTubeのフル尺の動画のみならず、中国で出回っているCD/DVDなどの海賊版もあえて放置しているとのこと。

実は豆満河を越えて脱北した人たちの中には、中国で消息を絶ってしまった家族がいる場合が少なくありません。そこで番組サイドでは、そういったネット動画や海賊版を容認し、逆に離散家族となってしまった人をテレビに出演させて家族が再開できるキッカケにしようとしているわけです。

実際に、そうして中国で行方が分からなくなった家族が見つかったという事例もあるのだそうです。

また、黄長燁(ファン・ジャンヨプ=元朝鮮労働党国際担当書記でチュチェ思想の理論家)以来の最高幹部クラスの脱北者である太永浩(テ・ヨンホ=元北朝鮮イギリス大使館公使)がYouTubeで「イマンカム」を見たと証言しているのをみると、このコンテンツの効果は小さくないのだと思います。

日本でももっと理解されるべき分断の状況

今、米朝首脳会談を目前に控え、韓半島を中心とした東アジアの情勢変化に世界が注目しています。その中で日本がこの状況をもっと理解することは重要なことだと考えます。

先日クライアントの方がソウルの友人の話を聞いて驚いたそうです。北では軍事境界線付近に何千もの長距離砲の砲塔をソウルに向けているわけですが、それに対してソウルの友人は「撃たれた時は撃たれた時」みたいな姿勢だったというのです。

そんな状況でソウルに人は、仕方ないことだと思っていますし、分断国家で今更不安を煽ったところで、何かが変わるわけでもないことをよく理解しています。そういうことも日本が理解することの一つでしょう。

またこの番組や実際に脱北者の人と会って話を聞いても、色々な情報が入ってきます。どんな教育が行われていて、どんな不満があり、どんな変化があるのか。そして南でもこの雰囲気の中で、統一に関心がなかった若い世代の人たちも、どんな未来を夢見るようになっているのか、どんな気持ちになってきたのかなど、様々な心の変化が生まれてきていますし、ますます生まれるでしょう。

大きく変化しようとしている東アジアに日本は日本の自国の利益の為にも、もっともっと多くの関心を傾けるべきだと思います。

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